2007年
2007.04.20

-シンポジウム-

「モエレ沼公園の未来図」

今年度90万人が来場する国内有数の公園に変貌したモエレ沼公園。

この札幌市の財産となった文化施設をどう守り育て、未来へ引き継いでいくのか。

モエレ沼公園の未来を考えるシンポジウム。

 

彫刻家イサム・ノグチの最後の作品として完成したモエレ沼公園には今年も多くの市民が訪れ、思い思いのひと時を楽しんでいます。

2004年の来場者は42万人強、2005年は70万人、2006年度には90万人の人々が訪れ、この公園は日本の有数の観光施設として特記されることになりました。

 

都市公園として誕生したモエレ沼公園は特異な経緯を持って誕生しています。ゴミの埋め立て地に作られた都市公園。著名なる彫刻家が、明確なテーマの基に設計した都市公園。

このパブリックデザインとしての公園の魅力はマスコミにも大きく取り上げられ、知名度は全国に広がり多くの人々がこの公園を訪れています。

一方で、公園に対する市民からの要望も多く散見するようになりました。

その内容は管理運営に関するもの、利便性に関するもの、飲食に関するもの、営業時間に関するもの、観光施設としての要望など多岐に及んでいます。

 

いま、札幌の財産となったモエレ沼公園の管理・運営は、大きな岐路に立たされているといえます。

都市公園固有の安心、安全、楽しさ、使いやすさを求める市民の声を数多く聞いて基本デザインを変質させていくのか、あるいはイサム・ノグチの基本デザインに忠実にどこまでもデザイン公園の道を歩むのか。

現在、札幌の公園や施設は管理業者自由化とも言える指定管理者制度の波で大きく変貌を遂げて行こうとしています。

モエレ沼公園は、経費削減や合理化と効率化の波の前で、効率的な経営と多くの市民の声を飲み込みながら緩やかに混沌と変質していくかもしれません。

 

モエレ沼公園は、どうあるべきか、また将来へどう引き継ぐべきなのか・・・

このフォーラムは「モエレ沼公園の未来図」をテーマに、ランドスケープやデザイン、観光、メディアといった切り口から公園の価値をいかにして守り育てるのかという議論を積み上げ、モエレ沼公園の将来のあり方を検討していくものです。

この指し示された結論は、モエレ沼公園の将来へのテーゼとして市民に共有されていくものです。

 

開催概要

日時

2007年4月20日(金)
開場18時00分 開演18時30分〜

会場

かでる2.7 520研修室
(札幌市中央区北2条西7丁目)

費用

無料

主催

モエレ沼公園の活用を考える会(モエレ・ファン・クラブ)

後援

イサム・ノグチ財団、イサム・ノグチ日本財団、北海道開発局、札幌市、札幌市教育委員会、(財)札幌市公園緑化協会、(財)札幌市芸術文化財団、(社)日本造園学会、東区公園ねっとわーく、日本都市計画家協会、札幌彫刻美術館友の会、アートチャレンジ滝川

話題提供

進士 五十八

東京農業大学地域環境科学部造園科学科教授・農学博士。

主な著書:『アメニティ・デザイン・ほんとうの環境づくり』(学芸出版社)、『緑のまちづくり学』(学芸出版社)、『都市になぜ農地が必要か』(実教出版)、『ランドスケープを創る人たち』(プロセスアーキテクチュア)、『日本庭園の特質・様式・空間・景観』(東京農大出版会)、共編著『ルーラル・ランドスケープデザイン』(学芸出版社)『自然環境復元の技術』(朝倉書店)、『造園を読む』(彰国社)など

 

パネリスト

石森 秀三

北海道大学観光学高等研究センター センター長/国立民族学博物館名誉教授/観光文明学、博物館学

主な著書:『博物館概論 — ミュージアムの多様な世界』(放送大学教育振興会)、『海南島:島世界の伝統と変容』(旅の文化研究所、神崎宣武・高田公理と共著)、『危機のコスモロジー:ミクロネシアの神々と人間』(福武書店)、『社会と文化:世界の民族』(朝日新聞社、梅棹忠夫ほかと共著)

 

森山 明子

武蔵野美術大学デザイン情報学科 教授/札幌スタイルデザインコンペティション審査委員長

長野オリンピック式典専門委員会委員、伝統工芸品産業振興協会デザイン委員会委員(通産省)、川崎市産業デザインコンペテイション審査委員長他多数の公職にも就任。主な著書:『デザイン 12の扉』(2001、丸善)等多数

 

古家 昌伸

北海道新聞編集局文化部所属。

新潟大学理学部卒業。山形県の電子部品会社、東京の出版社を経て北海道新聞入社。2003年より2度目の文化部勤務で美術を担当する。北海道発のクラシック音楽マガジン「季刊ゴーシュ」編集委員。

 

感想

2007年4月20日、かでる2.7の520研修室において、シンポジウム「モエレ沼公園の未来図」を開催いたしました。参加者は総勢120名となり、席が足りなくなって立ち見が出るほどでした。

 

まずはじめに東京農業大学教授の進士五十八さんから基調講演をいただきました。その後、武蔵野美術大学教授の森山明子さん、北海道大学観光学高等研究センター長の石森秀三さん、北海道新聞文化部記者の古家昌伸さんからそれぞれこれからのモエレ沼公園について提言をいただきました。

 

その後、モエレ・ファン・クラブ会長の小林英嗣さんをコーディネーターにモエレ沼公園の将来について進士五十八先生を交えて、いろいろと語っていただきました。

また、イサム・ノグチ財団名誉理事のショージ・サダオさん、マイレオニー札幌代表の大居智子さんからコメントをいただき、最後にこのシンポジウムにあたってのアピール文をモエレ・ファン・クラブ会員の牟礼さんに読み上げていただいて閉幕となりました。

 

予定終了時間を大幅に超えることになった進士先生をはじめパネラーの皆様の熱心な議論の内容について、後日報告書にまとめる予定です。まとめ次第、ホームページなどでお知らせしたいと考えておりますので、もう少々お待ちください。

最後になりましたが、このシンポジウムのご後援いただいた皆様、また4月という何かと忙しい時期にお集まりいただいた参加者の皆様、本当にありがとうございました。

 

シンポジウム「モエレ沼公園の未来図」の報告書とモエレ沼公園の要望書を上田文雄札幌市長へ渡しました!

2007年9月5日にシンポジウム「モエレ沼公園の未来図」の報告書とモエレ沼公園に関する要望書を上田文雄札幌市長へ渡しました。

出席したのは保科理事と会員の斉藤さん、大居さん、山本さん、牟礼さん、森本さんの計5名です。

最初保科理事からモエレ・ファン・クラブの紹介とシンポジウムについての説明を行いました。説明中から上田市長は笑顔で、「モエレのことは札幌の中で代表的な施設。またゴミの埋め立て地ということで、市民が作った公園とも言える。そして、イサム・ノグチがデザインをし、遺産として残してくれた。使い方については十分検討をして取り組んでいきたい」とおっしゃって下さり、和やかな雰囲気の中での会合となりました。

 

また、この件については新聞でも報道されました。下記の記事をご覧ください(PDFデータです)。

 

北海道新聞 平成19年9月6日

毎日新聞 平成19年9月6日

建設新聞 平成19年9月6日

 

基調講演をする進士先生

 

パネラーの石森先生

 

パネラーの森山先生

 

各パネラーの古家氏

 

会場は超満員となりました!

 

コメントをいただいたショージ・サダオ氏

 

コメントをいただいた大居智子氏

 

報告書と要望書が保科理事から上田文雄札幌市長へ

 

上田市長は真摯に私たちの説明と要望に耳を傾けていました