モエレ沼公園グランドオープン五周年記念 アートフォーラム ご報告

2010/11/18 (Thu) 09:33
こんにちは。
事務局の永谷です。

 




昨日11月17日に、モエレ沼公園グランドオープン五周年を記念して、アートフォーラムが後楽園ホテルで行われました。
「イサムノグチの誕生日を祝い、モエレ沼公園とモエレファンクラブの明日を語るフォーラム」ということで、
彫刻家 安田侃 さんと、MFC会長 小林英嗣会長 の対談、
フルートの小泉浩さんと、ピアノの柴田千賀子さんによる、イサムノグチ106歳バースディ・コンサート
が催されました。

60名を超える多くの方々にご参加いただき、会場は超満員状態でした。
MFC会員のみならず、一般の方からも半数近くご参加いただくことができました。ありがとうございました。


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対談では、
安田さんのイタリアでのお仕事等のお話を交えながら、様々なお話を伺うことができました。
モエレ沼公園は、「時間を超え、ずっと続いていく、子どもたちへの贈りもの」であること。
それは、「新しい担い手を、志をはぐくむ」ことにも通じているということ。
北海道の魅力は広々とした大地であり、北海道全体に「大地にたつ彫刻公園」ともいうべきものが数多くちりばめられていること。このような北海道の「本物」「オリジナル」を100年かけて作っていけば、1000年の時に耐えうるのだということ。
文化は「議論することによって積み重ねられてきた価値観。批評すること、反論することもまた重要」であること。
最後に、モエレ沼公園を今後どのように活用していけばいいかということについては、
「作った人はすぐに死んでしまう。残ったものを自分のために使うのか、人のために伝えるのか。」
「子どもの感性とあの空間がどれだけ響き合うか」
「感動してくれる空間を誰が維持していくのか」
「自信を以て、メッセージ(批判も含めて)を出していくことが重要」
といったお話を伺うことができました。
いくつもの興味深いキーワードが出てきて、大変勉強になりました。
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軽食は、
後楽園ホテルさんの素敵なお料理がバイキング形式でふるまわれました。
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フルートの小泉浩さんと、ピアノの柴田千賀子さんによる、イサムノグチ106歳バースディ・コンサートでは、
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シュトックメストの歌のつばさ幻想曲
フォーレのシチリアーノ
ケーラーの子守歌
ラフマニノフのヴォカリーズ
梁田貞さんの城ヶ島の雨
最後に、武満徹さんの巡りを小泉先生がソロで演奏してくださいました。
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武満徹さんの巡りは、イサムノグチに捧げられた追悼の曲です。
私はこの時まで「現代音楽」というジャンルがあることすら知らず、この時初めて耳にすることができました。
メロディーという概念とはまた違った、音の連なりの美しさみたいなものを感じました。
演奏を聴きながら、私が好きなイサムノグチの言葉「石を叩いてみれば、われわれ自身のなかに、存在のこだまが返ってくる。それは、宇宙全体に反響する。」
を思い出していました。
日ごろ生演奏の音楽を聴く機会があまりないため、
有名な演奏家のお二人の演奏を聴くことができたのは、とても貴重な機会だったと感じます。

大通公園に設置されているブラック・スライド・マントラを眺めながら、
対談に耳を傾け、演奏に身をゆだねる、大変素敵なアートフォーラムになったと思います。

思いつき

2010/11/09 (Thu) (Tue) 15:33
こんにちは。
事務局の永谷です。

 


たった今、ふと思ったのですが、
「モエレ沼公園 あそびかた集」みたいなのを作ったら愉快じゃないでしょうか。

そもそも、私は「モエレ沼公園の活用を考える会」という名称を聞いて、
「ああ、きっと、いかにしてモエレ沼公園で楽しく遊びうるのかを、ものすごく考えている人たちの集まりなんだろうな」「モエレ沼公園で遊び狂って、その楽しさをいかに味わうかを考えるのは、大変愉快そうだ」

とか勘違いしたのが、MFCに足を突っ込むきっかけだったのです。

モエレ沼公園は普通の公園とは違います。
遊び方が決まった遊具やテーマパークではありません。
そこには彫刻のこころや、ランドスケープのこころ、まちづくりのこころ、子どもたちが育つ場のこころ、環境のこころ、いろんなこころが詰まっていると思います。
だからこそモエレ沼公園は、ひとつの行為だけではなく、様々な行為や思いを載せて走る力を持った形になっている。それが具体的な形として、どんなものも受け入れる、象徴的で幾何学的な構成として表れているのだと思います。
その活用を模索することは、容易ではないでしょう。
それゆえにMFCは幅広い活動を目指し、多くの人たちの力を借りながら、幅を広げ、前に進もうとしているのでしょう。
それはとても立派なことだなあと、下っ端の私は思うのです。

そして、下っ端の私は、こうも思います。

「やっぱり、いかにしてモエレ沼公園で楽しく遊びうるのかを、モエレ沼公園で遊び狂ってさがすのは、その第一歩なんでないかい」
と。

その気になれば自転車で気軽に公園までいけることも、先日のサイクルツアーで明らかになりました。
空気が抜けてへこたれている私の自転車に、ひとたび空気を吹き込めば、モエレまではしってゆける自転車に生まれ変わります。
ひとりで遊び狂うのはいかにもさみしげですが、遊んでいる人たちを見ながら、「おお、こんな味わい方があるのか」と発見するのは大変愉快そうです。
それに、ひとりでも愉快にモエレ沼公園をかみしめることはできるでしょう。
噛めば噛むほど味が出るするめみたいな(失礼)予感がいたします。

研究部員としてはそれをまとめるべきなのではないかとも思います。
もし可能なら、イサム・ノグチ氏の計画意図と合わせて、あそびかたを眺めてみると、何か発見があるかもしれません。

これは愉快、さっそくやろうではないか。
とりあえず、修士論文が書きあがってから…。

こうしてアイデアは先延ばしにされてゆくのですね…。
私の悪い癖です。

大学の研究室で机にかじりつきながら、そう思うのでした。

事務局員 永谷

太郎吉蔵!

2010/10/04 (Thu) (Tue) (Mon) 10:03
こんにちは、事務局の永谷です。

 

 

 

 

 

昨日10月3日、MFCと提携させていただいている、NPO法人アートチャレンジ滝川ACTのイベントに参加しに、
滝川へ行ってきました!

『太郎吉蔵の昨日・今日・明日』ということで、
建築家中村好文さんによる、太郎吉蔵の改修設計及び今後の蔵に対する講義と、
ACT副理事長であり、太郎吉蔵の外構計画を担当された、我らがMFC事務局長でもある斉藤事務局長と
中村好文さんとの対談フリートークが行われました。

太郎吉蔵は、滝川駅近くにある歴史ある石蔵を、様々な魅力的なプログラムが展開される空間として再生したものです。
詳しくは、ACTのホームページ(http://www.act-takikawa.or.jp/act/tarokichi.htm)をご覧ください♪

…ということで、行ってきました、滝川。
貧乏学生なのでもちろんJRには乗れません(笑)
高速たきかわ号という素敵なバス(低価格!速い!!)に乗っていざ、滝川へ!
滝川駅からすぐのところに、太郎吉蔵はありました。

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扉の木の彫刻がアートな匂いを感じさせます。

早く来すぎたので、とりあえず街をぶらぶらしてから、また戻ってくることにしました。

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おひるごはんのたこ焼き(笑)
駅沿いの道に面したたこ焼き屋さんで買いました。
こんなにたくさん入ってお手頃価格でした♪
たこ焼きを食べながらまたぶらぶら…
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ここがJR滝川駅です。
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駅前にあった再開発ビル。吹き抜け空間が気持ちいいです。
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ビルの前広場では、でっかいかぼちゃ大会(?)が開かれていました。
人の大きさと比べると、その巨大さがよくわかります。

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太郎吉蔵に戻ってみると、すでに人が続々と集まっているところでした。
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太郎吉蔵は美瑛軟石で作られているそうです。

中はこんな感じ。
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暗めの空間に浮かびあがる構造が美しかったです。

さて、本題の中村さんのお話ですが、中村さんが今まで手掛けられた作品についてお話をしながら、
「古い建物をどう改修するか。単に古いものに似せるのではなく、新しいものを提示し、新しいものと古いものを響かせるような改修をしたい」とおっしゃっていました。
後半は、ACTの活動についてや、太郎吉蔵をどのように活用していったらよいか、ということについて、会場の方々からもお話を伺いながら、話が進んで行きました。
カフェやショートフィルム、ヨガスタジオ、ギャラリーのようにはっきりとした目的の用途のお話や、逆に、いつでもふらりと立ち寄れて、空間を味わうことのできる場、子どもや学生等に対して魅力的な場…等、多くの意見が出ていました。

私も、今回初めて太郎吉蔵を訪れたのですが、
時間が経つにつれて目が慣れてきて、目に見える空間が変わっていく、様々な発見がある…梁の跡や木骨石造の構造が良く見えるなど…そんな、空間を味わう場、というのも魅力的なのではないかと思いました。

※アートチャレンジ滝川ACTのホームページ(http://www.act-takikawa.or.jp/index.shtml

(事務局員 永谷)

サイクルツアー&野鳥観察会

2010/09/27 (Thu) (Tue) (Mon) (Mon) 12:53

みなさんこんにちは、事務局の永谷です。

9月26日にサイクルツアー&野鳥観察会が開催されました!

大通公園にあるブラック・スライド・マントラからモエレ沼公園まで、豊平川河川敷サイクリングロード等を通りながら自転車で行ってみよう!というこの企画。
総勢44名の方のご参加を頂きました♪ありがとうございます!

当日は朝から怪しげな天気…
しかも集合場所のブラック・スライド・マントラがある大通公園では、オータムフェスタの真っ最中…
雨の心配とおいしそうな匂いの誘惑にも負けず、皆さん続々と集まってくださいました。

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斉藤事務局長のあいさつ

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参加証の缶バッジ。淡い色遣いがかわいいです♪

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札幌のサイクルシェアリングプロジェクト、ポロクルスタッフのみなさん

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これが噂のポロクル♪丹頂鶴をイメージしたニューバージョンです!!
三段切替式で、すいすい進みます。モエレまでの長距離もこれならラクラクです♪

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自転車での長距離走行になるので、北大自転車競技部のみなさんにもご協力頂きました。

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開始が待ちきれない子どもたちは、ブラック・スライド・マントラで遊びながらスタートを待っていました。

ここで、スタッフの一部は先にモエレ沼公園で会場設営に向かいます…私もその一人。

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屋内会場はガラスのピラミッドのスペース2。準備はばっちりです!

ところが、スタート間もない時間に大粒の雨が!!
電話連絡によると、雨宿りをしながら、なんとか自転車を走らせている模様…
小さいお子さんも参加していらっしゃったので、とても心配でした。

しかし、皆さんがモエレ沼公園にゴールするころになると…

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お日様が顔を出し始めました♪イサムノグチの力によって守られているのでしょうか…(笑)ありがとう!!

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後半は、野鳥観察会です!
釧路湿原やモエレ沼公園で野鳥の観測をしていらっしゃる浦巧先生が、教えに来てくださいました♪
写真の右端に見えるのが、「フィールドスコープ」というつわもの。
コイツにかかると、どんな遠くの鳥もらくらく見えてしまうとのこと。
鳥好きとしては、この機会を逃すわけにはまいりません!!!

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…で、フィールドスコープを通して撮った写真がこれです。
カメラの性能と私の技術が追いつきません(;_;)
目で除くととっても綺麗に見えるのです。
写真の中央より左くらいのところに、「ウミウ」さんがいます。
写真だとなんだかよくわからなくなってしまっているのですが、
フィールドスコープの力は偉大で、ウミウの目の周りの黄色い縁取りや、目玉の色(綺麗な青でした!)までくっきりと見ることができました。

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ガラスのピラミッドに戻ってから、浦巧先生による野鳥のプレゼンテーション。
モエレ沼公園にいるたくさんの種類の鳥を、写真等を使って分かりやすく教えていただきました。
モエレが担保する水辺の環境が、鳥たちにとってどんなに大切なものなのか、今まで知りませんでした。
また、興味深かったのが、雪捨て場のお話。
雪捨て場にはあまり良いイメージがないのが一般的だと思いますが、
春~初夏、雪捨て場の雪が解けると、そこは水鳥たちにとって重要な湿地となるということです。
実際、多くの鳥たちが飛来しているそう。
また、コンクリート三面張りの都市河川も、実は天敵が侵入しにくく、鳥たちにとっては安心できる場所だったりするのだそうです。
今までネガティブなイメージを持っていた都市のインフラの、新たな一面を見せていただいた気がしました。

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さて、待ちに待ったお弁当です♪今回も、ランファン・キ・レーヴさんから、素敵なお弁当を提供して頂きました!
腹ペコにはたまらないこの豪華さ!いつもありがとうございます。

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最後に、参加者の皆様にアンケートに答えて頂きました。
ご回答くださった皆様、ありがとうございました!
皆様のご意見は、今後の企画やモエレ沼公園へのアクセス改善に向けた取り組みに役立てていきます♪

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これにて、今回のイベントは全て終了いたしました。
ご参加頂いた皆様、ご協力いただいた皆様、本当にありがとうございました!
また、このような企画が実現できたらいいですね!

事務局員 永谷

まめちしき(?) & MFC Letter 編集中!!

2010/07/14 (Thu) (Tue) (Mon) (Mon) (Wed) 15:10

こんにちは!事務局員の永谷です。

暖かい季節になってきましたが、
最近の札幌は、暑かったり寒かったり、雨が降ったり…不安定な空模様です。
天気のいい日は半そでで広大な公園を駆け巡るのにピッタリですね!!

ところで、モエレ沼公園のスケール感に北海道らしさを感じたことはありませんか?

「モエレ沼公園のスケール感覚は殖民区画のそれと似ている」ということがある論文に書いてありました。

殖民区画は、皆様ご存知の通り、中標津の防風林等で有名な、
300間(540m)のグリッド(格子)構造のことです。
農村地帯にひろがる、街区のでっかい版…と言ったら怒られるかしら…。
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北海道の雄大な風景・地形が、この大きな格子模様によってより引き立てられている、というのは有名な話です。
北海道の景色と言えば、どこまでもまっすぐに続いていく道路…というイメージを持たれる方も多いと思いますが、起伏のある地形にまっすぐな道路が走ると、よりその起伏が際立って見えてきたりしますよね。

その論文にはこう書いてあります。
「農村部の地形が緩勾配で拡がりを一望できる場所に立つと、300間のスケールがなかなか、普段体験しない距離間であることが確認できる。
広いという意識を持つスケールであるが、広大な拡がりと言うほどではなく、向こう端が意識できる距離間であり、農地の中の一本道でも向こうまで歩いていける距離の感覚である。
漠然とした孤独感に襲われるようなスケールではない。
なかなか都市空間では体験する機会の少ないスケールなのだが、造園空間として北海道での優れた事例となっているところに、そのスケール感が埋め込まれているようにも思える。
(中略)
イサム・ノグチ設計のモエレ沼公園の草地と人口の山のランドスケープのスケール感が、300間に近い空間スケールのように思われる」

イサム・ノグチが殖民区画を意識してモエレ沼公園を設計したかは定かではありませんが、
北海道の大地を拓くために敷かれたベースと、モエレ沼公園を構成するスケール感が似ているというのは、
不思議な気がしますね。

さて、まったく別の話ですが、
只今せっせとMFCLetterを編集しているところです。
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もうすぐ入稿!なので、皆様のお手元に届くのもそう遠くないと思います♪
生まれ変わったMFC Letterでは、会員の皆様の声も、
絶賛!大募集中!です!!(日本語変…)
モエレ沼公園に行ったときに撮影した写真等も、MFCLetterの表紙になるかもしれません♪
(ちなみに今回の表紙は、5/5に行われた「飯島実さんのふしぎヒコーキワークショップ」の際にスタッフが撮影した写真です♪)
是非是非、お気軽にお問い合わせください!

※本日のまめちしきの参考文献:『地域空間計画から見た北海道開拓と都市・村落の発展』柳田良造